カルペディエムのすゝめ
ラテン語で、意味は「死を想え」
いつか自分が死ぬことを忘れちゃいけないよーという死生観そのものであり、僕のおバカなWindows95ばりの脳内CPUは「死ぬ気になりゃなんでもできるわ」「どうせ死ぬならやっちまえ」と長年変換し、咀嚼をして、体現してきたつもりでいた。
だがこの「メメント・モリ」は僕が思っていたよりも深く、対になる言葉が存在していたのを恥ずかしながら最近になって知った。
それが「カルぺディエム」
「メメント・モリ」とは対義語であり、同義語でもある。
この言葉はニコイチで初めて成立するのだ。
ラテン語の和訳は「一日の花を摘め」
転じて
「今この瞬間を楽しめ」
「今という時間を大切にしろ」
という意味だ。
つまり、「メメント・モリ」が長期的な現実主義なら、「カルペディエム」は短期的な楽観主義を表している。
二律背反であり、表裏一体なのだ。
僕は最近引越しをし、お世話になった滋賀を離れ、本社のある神戸に住んでいる。
仕事での事業の本陣を構えるためだ。
しかしまだ綿密な計画の最中であり、水面から顔どころか髪の毛が出てきたくらいの現状であるため、僕は今神戸の外れにある事務所にて働かせてもらっている。
僕は今、朝6時半に起きて弁当を作り、お茶を水筒に汲んで、自宅から車で1時間強の事務所へと向かう。
18時頃に終業し、その足でスーパーへ夕食と明日の弁当の食材を購入する。
引っ越す前は「だいたいおんなじ毎日♪そいでまあまあそれなりOK♪」とROCKET DIVEな時もあったかもしれない。
だがいざ離れてみると、とてつもなく恋しくなるのは、ないものねだりの人間の性なのか。
ここにはアルバイトや仲の良い同僚もいない。
アルバイトが作ったお世辞にも美味しいと言えない漆黒のまかないや、よなよな開催される混老頭(ホンロウトウ)や七対子(チートイツ)などの中国語の勉強もない。
今シーズンの欧州サッカーの動向や、アプデに備えたポケモンの育成と乱数調整。
脳汁が溢れてならない諭吉を払えばボタンが押せる銀玉遊び。
そのすべてが愛おしく感じ、メランコリーな日もあるが、僕は元気に頑張っている。
元気な理由は、毎日が目まぐるしく、新鮮で、多くの人たちの情報やコミュニケーションにだいしゅきホールドされ、不安や重圧よりも、期待や好奇心が勝っているというなんとも言えない感情の真っ只中だからだ。
出会う人や話す人も様変わりした。
特に経営者の方が多く、先輩だろうと歳上だろうと、神格化せず、はっきり自分の領分や意思、主張を貫くことが今月から僕が決めた僕の裏目標だ。
朱に染まればなんとやらは本当で、毎日身の締まる思いで通勤するようになった。
遅刻や寝坊なんかできるわけはない。
ましてなにかを得て、具現化するステップまでもっていかないといけない。
そんな場所で日々みんなが闘っている。
経営者や重役クラスが纏っているオーラは、キメラアント編のピトーのように禍々しいものもあれば、自然系最強種”黄猿”ボルサリーノのように強烈な閃光を放つものまで多岐にわたる。
まるで知らず知らず偉大なる航路を冒険していてこのままでは新世界編に突入せん勢いだ。
いつまでも僕自身の船体がゴーイングメリー号のままではいられず、サウザンド・サニー号へのアプデがマジ急務なのである。
故に、日常を今よりも見直す必要がある。
世界は広かったからだ。
海外でも通じる日本語「MOTTAINAI」
そんな中、先日、滋賀で過ごした時の同僚やアルバイトたちがわざわざ僕の住む神戸まで遊びに来てくれた。
理由は「服を買いたいから」
正午から天そばを食し、終日3~4軒に渡ってビールを流し込んだ。
そして「1-4-3」「1-2-6」と呪文のように協議を重ね、僕らは魂を白、黒、赤のボートへとのせた。
全員で融資しあった5万円を合計50万円にするべく資産運用の協議は発券締切となる21時まで続いた。
その間もちろんお金を入れれば銀色の玉が出てくる遊びや、怪しい店にあった「S賞ニンテンドースイッチ」を転売するべく1回5000円というアホの極みと言うべきガチャガチャを回したりしていた。
みんな外れたのは語るまい。
ちなみに想いをのせたボートは転覆した。
本当にクソである。
というかこいつら服を買いに来たのではないのか。
帰りの電車で思い出し笑いをするくらいに、笑い転げた1日だった。
なんとも素敵な1日となった。
そして、僕はまた僕の”日常”へと戻る。
1日1日がジェットコースターのように波乱万丈だが、不思議と視界は良好な気がしている。
「メメント・モリ」や「カルペディエム」がこういうことなのかは分からない。
だけど、なにも無駄じゃなく必然に思える時がある。
向上心があるわけでもないし、ストイックでもない僕の”日常”が研ぎ澄まされる。
「夢中になる」って
とても難しく、おそろしく簡単な
そんな幸せかもしれないね。