フラットアーサーvs芦田愛菜さん
フラットアースなる「地球平面説」をご存知だろうか。
地動説の科学的な証明から幾百年。
なんと未だに地球が平らであることを信じてる人たちがいる。
彼らはその名の通り「フラットアーサー」と呼ばれている。
この話を聞いた時、僕は地球が丸いか丸くないかの真偽よりもこの人達の存在そのものに驚いてしまった。
彼らの主張は様々あるが、端的にまとめるとこうだ。
●「NASA」はヘブライ語で「騙す」という意味があるらしく、NASAが僕達に見せる映像や写真は全て嘘。CG。
●地球は自転をし、公転をしているが、その速度はマッハを超える。しかしそこに住んでいる我々がその速度を知覚できないのはおかしい。
●平面状の円形の地球の周りは南極の氷で覆われており、ゲームのように地球の端には「壁」が存在する。
●重力というものはなく、密度と浮力で説明は可能。←?
とまあ、だいたいこんな感じの主張をしており、絵にするとこんな感じらしい。
地動説vs天動説を描いた漫画「ち。」よろしく、これまでどれほどの血と知の基に今の科学や天文学があることか。
例えば、時速300kmの新幹線に乗り、僕が風圧やGを感じたら、それはとんでもない事だ。
そこで僕がジャンプでもしちゃえば、一気に先頭車両から最後尾の車両を突き破って線路の彼方へ吹っ飛ぶだろう。
そうはならず、この世界には慣性の法則というものがあることを僕は10歳の時に知った。
とまあ、ド素人目線からでもツッコミどころ満載の理論なのだが、馬鹿に出来ないのがその規模感である。
「フラットアースジャパン」なる団体もあるらしく、定期的に意見交換会が都市圏で開催されるそうだ。
調べるとなかなかの規模のハコに、大人数を収容しており、議論の内容はかなりの沼具合で笑いを禁じえないので、是非、落ち込んだ辛い日にお調べされることをオススメする。
誰かの手によって、隠蔽したい事実が世界にはたくさんあるらしい。
まさにユニバース。
飛び交うトンデモ理論には心が踊る。
集まった人たちは主にYouTube等の動画を見て、関心を持ち、地球平面説という真実に行き着いたらしい。
なんともお手軽な真実でなにより。
しかしその内容はあまりに、地球が平面だ!という主張や根拠よりも「球体であることへのディス」の方が目立っていた。
それよりも「なぜ」YouTubeの動画を信じて常識とされているものを疑ったのか、平面が「なぜ」正しいのかという議論のほうが聞きたいのに、それについてはあまり深くまで掘り下げてはいないと感じた。
ここで引き返せばいいものを、知的探求心で、先日、あるネットのコメント欄で僕は上記の質問をフラットアーサーたちにぶつけてしまった。
その結果僕のアカウントには日夜フラットアーサーが代わる代わる訪れ、よなよな議論を重ねることに(ボスラッシュ)
ほんとのことを言っちゃえば、僕は地球が球体であろうがなかろうがどうだっていい。
「宗教じみていて気持ち悪いですね」
「リテラシーという言葉をご存知ですか?」
と喉まで出かかってそれを押し殺し彼らの話を聞く1週間だった。
彼らも馬鹿じゃないのは理解出来る。
寧ろ当たり前のことに疑問を抱き、それを精査し確かめようとする姿勢はまさに科学の鑑だ。
宇宙人(地球外生命体)はいるともいないとも言えない。
観測できていないからだ。
とどのつまりは否定も肯定もできないはずだ。
量子力学的にはシュレディンガーの猫の箱の中に僕らは未だに住んでいる。
そんなことはこの世界にはごまんとある。
ただ気に入らないのは一貫して、証拠や根拠もなく片側の意見を否定ばかりする論理性の欠落と、最終的にコロナや戦争の話に帰結させようとする論調がかなり胡散臭かった。
僕が聞きたいのは「なぜ」常識を否定し、出処不明のYouTubeの動画を「なぜ」信じたのか。再三再四尋ねても、この動画を見れば解ります!だの、この方のTwitterに全て書いているだの。
僕は真面目なのでちゃんと目を通すが、気になる質問の答えはついぞ信者からは返ってくることはなかった。
だからやはり馬鹿が多いのかもしれない。
コロナに関してもそうだ。
根拠のないデマばかりが闊歩して情報が錯綜したのもここ最近の話だ。
先の戦争も然りではあるまいか。
結局サルがスマホを持ってるだけの話で、なにも進歩していない。
陰謀論にハマった会社の先輩は、家族ぐるみで此度のワクチンを1度も接種していない。
それ自体は否定もしないし、個人の自由で好きにすりゃあいい。
ただ眉唾なのはワクチンが遺伝子やらをバグらせて、数年後に接種した人が死ぬという人類補完計画的なナニカを盲信していることだった。
ヒトの遺伝子やらDNAに干渉できるワクチンがあればそれはその時点でこの世界は終わりレベルの大発見だ。
国の言うことを聞いて素直に接種した扱いやすい人たちより、不信感を先行させて断固拒否する人たちが生きるとな。
僕が国の暗躍部門の長なら、間違いなく殺すのは後者の方だろう。
そりゃYouTubeも消されるし、アカウントもBANされるだろう。
間違った情報を流布する迷惑者としか思えない。
それを彼らはさも大将首でもとったように騒ぎ立て、「キカンノボウガイダー!」などと宣う。
そうだ。妨害だ。
はっきり言ってクソウザいのだ。
先日特番の「タモリステーション」という番組において、MCのタモリさんがひと言も喋らなかったというニュースは記憶に新しい。
番組はウクライナ侵攻についてたっぷり2時間、専門家たちがあーでもないこーでもないという内容だった。
賛否両論あれど、沈黙を貫いたMCの判断に、僕は非常に知性と品性を感じた。
「正解は沈黙」
レオリオもびっくりのクラピカさんのドヤ顔である。
要は不文律。自分の領分を自覚し、情報を吟味し、咀嚼する。
信じることなんかある日急に音を立てて崩れ落ちるのは知っている。
事象や摂理ならともかく、戦争やウィルスに付随する人の心や内面なんてまして不確定要素の塊以外なにものでもない。
頭が混乱するので
「8回転生したら顔面と頭の偏差値ガチャが上振れて、ついでにドラマやCMに引っ張りだこになった件」の主人公と僕が呼ぶ、女優 芦田愛菜「さん」の言葉で今日は締めくくろう。
これは彼女が映画の完成披露試写会で述べた言葉だ。
“信じる”について
「裏切られたとか期待していたとか言うけど、その人が裏切ったわけではなく、その人の見えなかった部分が見えただけ。見えなかった部分が見えたときに、それもその人なんだと受け止められることができる、揺るがない自分がいることが信じることと思いました」
「揺るがない軸を持つことは難しい。だからこそ人は『信じる』と口に出して、成功したい自分や理想の人物像にすがりたいんじゃないかなと思いました」
100点です。
おれもここまで言語化でき、完全体釈迦如来となれば、きっとフラットアーサーたちとも仲良くできたろうに。
芦田愛菜さんからすれば、
フラットアーサーは揺るがない自分の理想に縋る厨二病患者であり、僕は享受することを拒む器の小さい男ということか。
結局は同じ穴のムジナということですか。
恐れ入ります。
彼女の知性溢れる大きな瞳の奥にあるその言葉は、フラットに見て、嘘なんかじゃないよねと信じて憚らない。